現在は独立していますが、以前は会社員をしていた私。
会社を退職するまでには、会社内でうまく退職を伝える段取り、辞めてからの保険・年金の手続きなど、初めて体験することがいくつもありました。
この記事では、退職の伝え方から社会保険などの手続きについてまとめました。
会社内での退職段取り
これは、自分の置かれた立場や会社によっても違うでしょう。
ですがあえて言うなら、以下の4点が重要だと思います。
【① 直属の上司は飛ばさず、まず最初に伝える(ちゃんと伝わっているか要確認)】
退職についていきなり偉い人に伝えてしまうと、後々上司とのいざこざの種になりかねません。
できればスッキリと辞めていきたいもの。
上司との関係性にもよりますが、まずは直属の上司に伝えてそこからさらに上層部、あるいは人事に伝えるという流れが一番無難だと思います。
上司が信用できない場合は、上司に加えて部門長などキーマンとなるポジションの人に同時に伝えて面談を設定してもらう、という手もありかもしれません。
但し、上司などから上層部や人事に伝える段階で、話が止まっていたりする場合があります。
きちんと話が通っているかどうか見えなければ、プッシュするなり進捗を聞くなりした方が良いでしょう。
上司が退職を快く思っていないとなんとか阻止しようとしてくる場合があるので、伝えただけで安心するのは危険です。
【② 退職まではいつも通り働き、引き継ぎもぬかりなく】
いくら退職を決めたとはいえ、仕事をおろそかにして周囲からひんしゅくを買うようなことは避けたいもの。何のメリットもありません。
どこで誰と誰がつながっているかわからないもの。
「立つ鳥跡を濁さず」といいますが、自分が去った後も滞りなく仕事が回るように、引き継ぎなどの段取りをつけておきましょう。
同じ業界に留まる場合にはなおさらです。
【③ 期日の調整は慎重に、あらかじめ最遅ラインを決めておけ】
退職の期日は、退職後何をするか(あるいは転職するか)にもよりますが、譲れないラインがあるはずです。
通常、会社側としてはできるだけ長く残って欲しいと思うものですから、その譲れないラインを越えないようにうまく交渉する必要があります。
その調整を滞りなく行うためにも、退職予定日の2ヶ月前くらいには会社に伝えておき、遅くとも自分の譲れないギリギリの退職日までには辞められるよう段取りしましょう。
【④ 有休は可能な限り使い切れ】
日本では、有給休暇は使いきらない人の方が断然多い。
退職時には何十日も貯まっている人も多いことでしょう。
退職後、あるいは転職先でまとまった休みがいつ取れるかはわかりません。
心苦しいかもしれませんが、せっかくの有休はできるだけ使ってゆっくりと休んだり、旅行したり、家族と過ごす時間を確保しましょう。
これは労働者の権利なので、堂々と使っていいんです。
どうしても退職を伝えられないなら「退職代行」もあり
退職したいけど、どうしても上司や同僚が怖いなどで自分では伝えられない……という人には、退職代行というサービスがあります。
これは、一定の料金を支払うことで退職に関する連絡や手続きをやってくれるサービス。
たとえば退職代行の人気サービス・退職代行ガーディアンでは、24,800円で会社や上司への連絡や手続きをやってくれるとのこと。
何をどこまでやってくれるかはサービスによるので、気になる点は料金を支払う前に忘れずご確認ください。
健康保険(任意継続 or 国保)
日本に住んでいる人は、一部の例外を除き皆健康保険に加入する必要があります。
転職の場合は会社側がやってくれるので特に意識する必要はありませんが、退職して独立、あるいは無職となる場合には、今まで所属していた会社の健康保険を継続する(任意継続)か、市町村が運営する国民健康保険(国保)を選ぶ必要があります。
この任意継続と国保で大きく違う点は、「傷病手当金・出産手当金の有無」「保険料」の2つ。
傷病手当金・出産手当金は、任意継続の場合は支払われますが、国保ではその制度がないため支払われません。
保険料に関しては、前年の収入額によって変わりますし、国保の保険料は住んでいる市区町村によっても違うため一概には言えませんが、退職してから1年間は任意継続の方が割安になる場合が多いようです。
(私の場合も、任意継続の方が年あたり15万円ほど安かった)
国民健康保険の保険料は、自分で調べて計算するか、役所に行って試算してもらってください。
任意継続の保険料は、会社に所属していたころの給与明細の保険料額の2倍が月あたりの支払額になります。
(つまり、今までは会社が半分出してくれていたということです。知らなかった。。。)
但し、1つ注意点が。
任意継続は、資格喪失日(つまり退職日)から20日以内に申請が必要だ、ということです。
どちらの方が得かを早めに試算し、手続きをしておきましょう。
以下に参考リンクを貼っておきます。
国民年金への加入
日本に住んでいる人は、保険と同様に年金にも加入が必要。
転職する場合は転職先の企業に年金手帳を渡せばおしまいですが、特に転職せず退職する場合、それまで加入していた厚生年金から外れます。
自分で年金手帳を持って役所へ行き、国民年金の支払い手続きをしておきましょう。
なお、厚生年金と国民年金の違いは、前者が「2階建て」、後者が「1階建て」ということです。
つまり、厚生年金(サラリーマンなら誰でも加入している年金)の場合は、通常支払うべき1階の部分に加え、さらに2階部分を積み立てているということです。
さらに、その2階部分の積立額の半分は会社が支払ってくれているので、かなりお得。
当然、国民年金だけ支払っている人よりも受け取れる年金額は高額になります。
とはいえ、我々の世代は支払った年金額よりも受け取れる年金額の方が少なくなりそうですし、毎月何万も払うのはちょっと複雑な気分ですね…。
自営業の届出 or 法人設立 or ハローワーク
こちらも転職する人には無縁の話ですが、これから個人事業主としてやっていくのか、会社を立ち上げるのか、無職やニートになるのかによってそれぞれ手続きが必要です。
まず個人事業主(フリーランス)になる場合は、税務署に開業届を出すだけ。あわせて青色申告の届けもしておきましょう。
個人事業主の開業に必要な書類と手続きまとめ。開業届と青色申告書でOK
会社設立(起業)の場合はもう少し複雑で、税務署のほか役所、税事務所、保険事務所などにいろいろと届出が必要で、費用もそれなりにかかります。
起業の費用っていくらかかる?株式会社より合同会社のほうが安く済む
当面は転職・独立の予定がない人は、会社から発行される離職票を持ってハローワークに行きましょう。
求職中である旨を伝えて手続きをすれば、勤続年数や退職時の状況(会社都合か、自己都合か)に応じて雇用保険が一定期間支給されます。
もちろん、ハローワークで働き口を探したり、仕事のあっせんを受けられることも。
ハローワークにすら行かずに無職やニートになることもできますが、上記のとおり雇用保険などのメリットもあるので、とりあえず相談に行ってみるといいでしょう。
あとがき
保険料や年金を何も考えずに支払っていた、サラリーマン時代。
会社を辞め自分で手続きをしてみて、始めてその仕組みが少しだけわかりました。
そして、サラリーマンって保険料や厚生年金を半額会社に払ってもらったり、かなり優遇されてるんやなあ…ということも。
今すぐ退職する予定がない方も、自分が入っている保険や年金はどんなので、いくら払っているのか?
仕組みを知っておくと、いざというときに役に立つかもしれません。