「小規模企業共済」のメリット・デメリット、掛金や解約についてくわしく解説。フリーランス・社長は加入しよう!

「小規模企業共済」のメリット・デメリット、掛金や解約についてくわしく解説

個人事業主(フリーランス)、従業員数5人以下(業種によっては20人以下)の会社役員が加入できる、「小規模企業共済」。

毎月積み立てる掛金は全額所得控除ができ、貯まった共済金は退職所得として受け取ることで節税になる、ありがたい制度。


20年以上積み立てれば積み立てた分よりも多い金額が返ってくるので、節税できる分まるまる得するということになります。

課税所得が500万円の場合は、月1万円(年12万)積み立てると節税額は年36,500円。

言わば実質年利30%といってもいい状態になるわけですね。これはやらな損のレベルや。。。


加入資格のある個人事業主や小規模企業の経営者の方で月々少しでも積み立てる余裕のある方は、利用しておくべきですよ!

小規模企業共済の概要

▼加入資格

小規模企業共済に加入できるのは、個人事業主もしくは会社の経営者。

「小規模」の名前の通り、運営する組織の従業員の数に制限があります。

■加入資格のある方

1.建設業、製造業、運輸業、不動産業、農業、サービス業(宿泊業、娯楽業に限る)などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社の役員

2.商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員

3.事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員や常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員

4.常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員

5.常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人などの士業法人の社員

6.上記1、2に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)
中小機構共済FAQ

▼掛金

月額1,000〜70,000円まで、500円刻み

▼共済金(解約手当金)について

20年以内に解約した場合には、元本割れとなってしまいます。
逆に20年以上積み立てると、以降は月数に応じて支給額が上がっていく仕組み。

計算方法は以下の表にある通りです。

その掛金区分の
掛金納付月数
支給割合
12月以上 84月未満 80.00%
84月以上 90月未満 80.50%
90月以上 96月未満 81.25%
(以下6ヶ月ごとに0.75ポイントずつ割合が増加)
240月以上 246月未満 100.00%
246月以上 252月未満 100.25%
252月以上 258月未満 100.50%
(以下6ヶ月ごとに0.25ポイントずつ割合が増加)
468月以上 474月未満 109.50%
474月以上 480月未満 109.75%
(以下6ヶ月ごとに0.25%増加、上限120%)

共済金等請求・解約 | 小規模企業共済より)
※上記は記事掲載当時の情報です。かならず公式サイトにてご確認ください


個人事業の廃業や譲渡、65歳以上で180ヶ月以上掛金を払い込んだなど、特定の事由に該当する場合には、20年以内であっても満額かそれ以上の金額を受け取ることができます。

▼加入方法

都市銀行や地方銀行、商工会議所などで用紙をもらい、記入・提出すればOK。
窓口で「小規模企業共済に入りたいのですが」と言えば案内してくれるはずです。

節税額がとんでもない。所得500万円ならなんと実質年利30.42%!

ここまでだと、「20年も加入してなきゃ得しないのか…」とガッカリした人もいるかもしれません。

ですがちょっと待ってください。この小規模企業共済がすごいのは共済金ではなく、節税額のほうなのです。

課税所得500万の場合の節税額がこちら

例として、公式ページに載っていた課税所得500万円の場合の表を見てみましょう。

掛金月額 掛金年額 節税額 実質負担額
10,000円 120,000円 36,500円 83,500円
20,000円 240,000円 73,000円 167,000円
30,000円 360,000円 109,500円 250,500円
40,000円 480,000円 146,000円 334,000円
50,000円 600,000円 182,500円 417,500円
60,000円 720,000円 219,100円 500,900円
70,000円 840,000円 255,600円 584,400円

2024年現在上記の表は公式ページに掲載されておらず、代わりにシミュレーションのページが公開されている。
小規模企業共済制度 加入シミュレーション:試算条件の入力|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

月3万の掛金で5年で解約しても、節税額を差し引くと得になる計算

掛金年額120,000円あたり、36,500円も節税ができてしまうんです。

元本割れしない前提でいけば、36,500/120,000=約30.42%。年利30%と同じことですよ。
預金なんかでは絶対ありえないお得さです。すごすぎる。。。

※課税所得額によって節税額は大きく変わるため、自分の場合どうなるかは自分で計算してください


もし途中で解約し元本割れしてしまったとしても、場合によっては節税額が大きいためトータルでプラスになってしまったりします。

例えば、課税所得が年間500万の人が月3万円の掛金で小規模企業共済に加入し、5年で任意解約してしまった場合。

支払った掛金は、

30,000円×60ヶ月 = 1,800,000円

受け取れる共済金は、

1,800,000×80% = 1,440,000円

一方で、5年間の間に節税できた額は、

109,500円×5 = 547,500円

これらを比較してみると、

1,440,000 + 547,500 > 1,800,000
(受け取り額 + 節税額 > 支払額)

となり、それでも支払額よりも得することになります。


なお、受け取る共済金は退職所得扱いとなり税金がかかりますが、年40万まで退職所得控除の範囲内なのでこの場合税金はかかりません。

ただし、退職所得控除となる条件を満たしているかは確認が必要。

くわしくは以下のページでご確認を。

小規模企業共済のリスク

以上の通り、もはや加入資格を持った人であれば「入らな損」なレベルの小規模企業共済ですが、リスクについてもちゃんと知っておきましょう。

  • 20年以内に解約すると共済金が元本割れする。あまり短い期間で解約してしまったり、課税所得額や掛金額によっては節税額を差し引いてもマイナスになる
  • 掛金の増額は比較的容易だが、減額には条件があるため注意

資金が必要になった場合、貸付け制度も

途中で資金が必要となった場合、わざわざ解約して元本割れさせずとも貸付け制度を利用することができるようです。


特徴をざっくりまとめると、

  1. 今までのトータル掛金額の7〜9割まで借り入れ可(但し10〜2,000万の範囲内)
  2. 貸付期間は6、12、24、36、60ヶ月
  3. 利率は1.5%、延滞利子14.6%

詳しくは以下のページを参照ください。

掛金の範囲内(掛金納付月数により掛金の7~9割)で、10万円以上2,000万円以内(5万円単位)で借入れをすることができます。
一般貸付制度|小規模企業共済(中小機構)

あとがき

私は、開業して2年経った時点で加入手続きを済ませました。

もっと早くこの制度を知っていれば。。。


加入資格のある個人事業主や小規模企業の社長さん、この小規模企業共済をうまく使えば相当お得だと思いますよ。

もし知らなかった方がいたら、当記事を参考に加入の検討をおすすめします!

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